監督:羽住英一郎 脚本:土城温美
2022年10月14日公開 102分
2022年10月14日、新宿ピカデリーにて鑑賞
※感想後半のネタバレ部分には注釈があります
┌────────────┐
映画『#カラダ探し』
ポスター&チラシ 劇場掲出開始ˊ˗
└────────────┘
全国の上映映画館にて
本日より順次掲出予定です🎬
(一部劇場を除く)
ぜひチェックしてみてください🔍 pic.twitter.com/pqO2YLNVkA
クラスで浮いた存在の女子高生・明日香(橋本環奈)は、幼馴染の高広(眞栄田郷敦)とも疎遠になっていた。そんなある日、深夜の学校で目を覚ました明日香と高広、そして接点のない4人のクラスメイトたちは、血で赤く染まった幼い少女によって次々と惨殺される。再び目を覚ますと、時間はその日の朝に巻き戻っていた……
・"『IT/イット』のワーナー・ブラザース"て
・原作小説、マンガ版ともに既読。
・ぜ ぜ ぜ 全然違う…………
・許されるのか……2022年にコレが……
・……まあ いわゆる"実写化映画"いろいろあるけど 自分は基本的に穏健派というか 寛容な方というか「違う」ってだけでは まあ別に全然いいと思う。
・要は映画化するにあたっての"翻案"……その作品のどこをどういう切り口で2時間にまとめるか?……が重要なのであって "そのまま"かどうか、は 別にそこまで評価に関わってこない(うまいこと再現してくれてたらチョットうれしいけど)。
・それにしたってコレは……どうなんだ!?
・「原作つきの?デスゲームもの?じゃあ10代に人気ありそうなキャスト並べて タイアップも流行りのアーティストに歌ってもらって ちょっとPG12くらいのグロ描写もやっちゃおっか!あ でもあんまルールとか難しくしないで 青春と恋愛推しでいきましょう!」みたいな実写版って マジで実在するんですね……という驚きがあった。
・閑話休題。とりあえず原作の解説から。
・ウェルザード先生の原作は小説投稿サイト"エブリスタ"より。
・前は"E☆エブリスタ"、さらにその前はモバゲータウンの小説コーナーでしたね。メチャメチャ読んでました。
・加えて、小説をコミカライズしたマンガ版も少年ジャンプ+の立ち上げ時から連載されていた人気作。
・ジャンプラのアプリを開いたことがある人なら絶対タイトルは目に入ってるハズ。
・今回の実写版は大元の小説版からの映画化、という形ではあるけど マンガ版も協力しているようで、映画のコミカライズが『カラダ探し 異』のタイトルで連載中。
・いわゆるケータイ小説、の映画化にはなるけど 04年『Deep Love アユの物語』とか07年『恋空』とかとは全然違って(当たり前だ)、もうちょい後の……11年『王様ゲーム』とかの感覚に近いかな。
・"ケータイ小説"が一定のジャンルとして定着し始め……ガラケーからスマホへの移り変わりが始まり……くらいの時期。
・グロ入りティーン向け実写化映画、としては『神さまの言うとおり』に近い感覚。あとは……『Another アナザー』とか?
・で 今作。こういう時は箇条書きで原作との違いを並べていきたいところではあるんだけど……違いっていうか 原作と同じところを並べた方が早いくらい違うので、そうします。
・①主人公たちの名前と、なんとなくの人物像。
・②夜の学校で"赤い人"と呼ばれる少女に追いかけられながら、バラバラの身体を探すゲーム。
・……これくらい……じゃないでしょうか……
・ちなみに①に補足しておくと、引きこもりの篤史(アツシ)は映画オリジナルキャラクター。原作の6人目はカラダ探しが進んで状況が変わっていくことで一時的に引きこもるようになるので、そこからアレンジした模様。
・②補足:原作では少女の行動やゲーム自体にもっと複雑なルールがあり、それを解読・攻略していくことが主なストーリー。バラバラの身体も少女のミイラではなく、謎のエネルギーで分断された生者の肉体。"赤い人"というワードは、舞台となる学校に伝わる怪談が由来。
・映画でもそのまま使われてたけど……あれ初見で"赤い人"って呼ぶか?せめて"血まみれの子供"じゃないの。
・これはもう"原作"というか"原案"と捉えればいいんじゃないでしょうか。
・そもそも(上にも書いたけど)『カラダ探し』の主なストーリーというか "核"になる部分は
❶"カラダ探し"ゲーム本体のルール解読と攻略、
❷"カラダ探し"を引き起こしている少女が殺された事件の真相究明、
あとまあ そんなメインでガッツリと描かれないけど 強いて言うなら
❸キャラクター同士の友情と恋愛、なので……映画化するぞ!って時にまず❸かよ!?!?とは思っちゃう。
・まあルールとか難しいし?最近の若い子にはこんなモンでウケんじゃないですか?という思いがスケスケな一本でした。ちょっとナメすぎとちゃう?
・と言いつつ 脚本が破綻してるとか演技がド下手とかは全然ないので サクッと軽く楽しめるアトラクション映画としてはよくできてたと思います。
・ていうか役者陣はみんなスゲ〜よかったです。そこはもうまったく文句ナシ。
・ここからはもうちょい突っ込んだ本編の感想。
〜以下、ネタバレがあります〜
(原作ネタバレは序盤まで)
・えっ 世界規模の話なの!?!?!?
・原作では全然あんなことはなく、日本……というか高校の近所で起きた惨殺事件で死んでしまった少女の怨念が原因。
・まあ実写化にあたって やたらスケールのでかい話になるのは別にいいっちゃいいんだけど、作劇上の意味が特になかった……どころか普通にわかりづらくなってるだけな気がする。
・でも他国の"カラダ探し"に巻き込まれたと思しき写真の青年が 記録映像では老人になっていたのはちょっと迫力あってよかった。原作でも、何年もカラダ探しをクリアできないままループに閉じ込められると、そのぶん年老いてしまう描写がある。
・……んだけど 今回の映画では別に主人公たちがそこに怯えたりすることもなかったので 単によくわからん描写で終わってしまっているのが残念。
・タイトルロゴ、ダセェ〜〜〜〜〜〜!!!!
何あれ!?!?!?!?!?!?!?
・主演・明日香役、橋本環奈さんの演技は良かった。彼女はいわゆる"美少女"な役どころを多く演じてるけど、オドオドキョドキョドと "いじめられるまで行かないけど浮いてるやつ"な演技がちゃんとできていたと思う。
・それにしたって周囲のあのリアクションはあり得ないとは思うが……
・裏返したスマホのバイブ……にしては明らかに不自然に動きまくるスマホ、ちょいベタながらいい感じに怖くて良いですね。
・高広役の眞栄田郷敦(まえだ・ゴードン)さん、よかった……千葉真一のジュニア、新田真剣佑のブラザー、だけど彼ならではの大人びた魅力が存分に発揮されてたと思う。凛々しい骨格に低音ボイスもステキ。
・最近だと『東京リベンジャーズ』実写版の三ツ谷くん役が印象的。続編も楽しみにしてます。
・高広、原作だともっと"明日香のことが好きだけど素直になれなくて不良ぶってる男の子"って感じなので、爽やかスポーツイケメンに大変身しててビックリ。
・いきなりバックハグすな〜〜!!!!
・原作では"赤い人"に後ろから組みつかれたら終わり、という展開があるので、そこと重ねることで いきなり後ろから抱きつくことの暴力性を風刺しているのかもしれない。
・そんなワケあるか。
・ギャルな留美子役の山本舞香さん、いわゆる"実写版"作品では何をやってもハマり役な感じのスゴい俳優。
・本作と同じ羽住監督の『暗殺教室』のカエデ、『東京喰種 トーキョーグール【S】』では千眼美子さんからのリキャストでトーカちゃん、ジャンプ+実写化で無理やり繋げると『とんかつDJアゲ太郎』の苑子ちゃんとか。
・ただ今回のイメージに一番近いのは『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の芹香(女子高生時代)とかでしょうか。スゲ〜いい映画なのでオススメです。
・PG12指定。まあギリギリを攻めた人体破壊描写はやってくれてたように思う。
・橋本環奈の生首が下駄箱にブチ込まれてるのが見られるのは『カラダ探し』だけ!
・なんか でも え〜そこは隠すんだ?と思った次の場面ではメチャメチャ切断見せてたりとか イマイチ基準がようわからん。
・終盤の食われていくシーンとかもっとちゃんと見たかったな。あとなんか食い方が同時期に公開されてる『◯◯◯◯◯◯』みたいだった……と書けば 観た人には伝わるでしょうか。
・ていうかあのネメシス(バイオハザード)みたいなの何!?
・知らん……何それ…… 怖……
・そもそもエミリー人形も映画オリジナル(原作でもぬいぐるみは出てくるが、ちゃんと別の設定がある)。たぶん『死霊館』のアナベル人形のオマージュでしょう。
・礼拝堂とかでっかい十字架とかも映画オリジナル。原作の舞台は工業高校(なので校内にいろいろ戦えそうな工具とかが置いてある。ラストバトルはこの名残りか)。
・オレたち6人は孤独だから選ばれたのかもしれねえ……みたいな話も、映画オリジナルの設定。
・知らん……何それ…… 怖……
・Adoの歌ね〜。
・Adoさんは大好きだけど 正直……まあ……ゴリ押し感は……すごかったよね……
・でも"放送室"を使って逆転するのはちょっと好き。曲も"リベリオン"(反逆、反乱)だし。
・原作では放送室は完全にロックされていて、ゲームに関するアナウンスがそこから流される上に即死トラップまで仕掛けられている呪われた場所なので。
・もしかして「ロックンローラー作戦!」とか言ってた翔太がロッカーの中に隠れて殺されるのってギャグだったのか?
・柄本佑が演じる八代先生、原作ではもっと不気味な風貌……というか "カラダ探し"に巻き込まれた結果、実年齢よりかなり老けてしまった被害者として登場。あと農業科の教師から図書館司書に設定変更、ネコを埋めてるのはその名残りか。
・かつ、原作ではカラダ探しの元凶となった少女の惨殺事件について独自に調査を進めており、先に挙げた❷真相究明、のキーマンとなっていくキャラクター……なのだが、今作ではそのへんが全部カットされたため 何しに出てきたのかよくわからん存在に。
・とはいえゲーム経験者として何らかのアドバイスをくれたりしてもいいハズだが、それも"なんとなく覚えてる"程度なので(この設定もほとんど映画オリジナル。原作でも一応これに近い記憶改変の展開があるっちゃある)本当に役に立たない、どころか経験者であることも明日香にしか明かされない。
・やたらキラキラしてる海水浴シーンはほぼ映画オリジナル(原作でも海には行くけど もっとサラッと済ませる展開)。
・"いざという時に守ってくれるカレ"的な展開で普通にグーで殴っちゃっていいんだ。
・死にまくっても大丈夫!なハッチャけ方なら『ハッピー・デス・デイ』みたいなのが見たかったかも。
・後々"死んだらアウト"の展開があるなら、リベリオンが流れてる間だけでも"死にまくることを前提にした作戦"とかをやってほしかった。
・でもパフェ食いまくりのシーンはよかった。ここも山本舞香さんの好演が光る。
・ところであのカフェ 海が見えてすげ〜〜〜〜オシャレ!ロケなのかな?実在するなら行ってみたい。
・終盤、この映画を観た100人中100人が「ええからはよ首入れろや!!!!」と思ったであろう。
・羽住監督、もはやわざとやってないか?
・そんでラスト。
・今回の元凶となった少女惨殺事件の記事が書き換わり、事件の場所が遊園地に・被害者が主人公の明日香に変わってしまう。
・知らん……何それ…… 怖……
・本当に知らん
・そもそも井戸から出てくる大量の手も映画オリジナルの描写。言うまでもなく『リング』のオマージュ……だと思うけど、たぶんこの場面は ロケ地の学校にちょうどこんな井戸があったから入れてみました……な気がする。
・ラストを真面目に考察するなら、まず
①カラダ探しのクリアによって過去が書き換わり、明日香が死んでいることになってしまった
(エンディングの笑顔の後、明日香が最初からいない世界に書き換わった。次は明日香が"赤い人"になるゲームが始まる)
なのか、
②実は明日香は最初から死んでいたことが明らかになった
(本作で出てくる明日香は全部幻覚)
の どちらなのか。コレに関しては、冒頭の記録映像の男性が「生き残ったやつが生贄になる」……みたいなことを言い残していたことからも①になるでしょう。まあ②は無理筋すぎるし。
・図書館での作戦会議中、小さい頃に高広一家と遊園地に行った話をしかけていた。おそらくこの時に誘拐・殺害されたということになったのかな。
・そもそも、この映画における"カラダ探し"現象を引き起こすトリガーが 原作のように特定の誰かによる怨み……ではなく もともとそういう怪奇現象として世界に存在していた、と考えるのが自然でしょうか。
・ただし生き残りは死んだことにされ、関係者も記憶のほとんどを書き換えられることから都市伝説程度にしか記録が残らない……という。
・…………青春友情恋愛映画に舵を切ったにしては急にイヤな終わり方すぎない!?!?!?!?
・マンガもオススメなので読んでみてね。