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#ゲームとことば 『428〜封鎖された渋谷で〜』

ゲームとことば Advent Calendar 2022

12月3日(土)

 

※ゲームのネタバレはありません※

 

"ゲームと人生"をテーマに書いてみよう、と考えた時に……つまり、自分の人生観に最も大きな影響を及ぼしたゲームとして……まず浮かんだ一本は、『428〜封鎖された渋谷で〜』でした。

 

 

『428〜封鎖された渋谷で〜』は……まあ、ゲーム好きならなんとなくタイトルくらいは聞いたことがあるんじゃあないかな?なんか……ノベルゲーで……実写のやつ。それそれ。知らない人はスミマセン。



『428』は2008年末に発売されたサウンドノベル(BGMとか効果音とか背景の音は入ってるけど、声はナシ)で、最大の特徴は①グラフィックがほぼ全編実写であること、それから②5人の主人公それぞれの物語が同時進行すること。

 

①……そう、実写!当時の渋谷のさまざまなロケーションで撮影された写真で、中にはほぼゲリラ撮影したようなカットもあったりとか。

②……本作は、4月28日、に起こったある事件に関わっていく5人の人々が主人公。それぞれテイストの違う物語が進むにつれ、たまに交わり、と思ったら全然違う方向に進み、どんどん絡んでいって、最後には……という ザ・群像劇ですね。

 

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紹介トレーラーより


キャラクターもみんな絵じゃなくて実写キャストを起用してまして。コレがまた……どんどん愛着が湧いてくるんですよ。群像劇のノベルゲーをやったことある方ならわかると思うんですけども、プレイ終盤はもう、全員のことが大好きになってます。

 

しかも(2007年くらいかな?撮影当時の、ですが)背景はほとんど実際の渋谷の街。これがもうね〜〜〜〜。プレイ当時の自分にブッ刺さったんですよ。

 

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Steamより


というのも、自分は京都出身・今は東京在住なんですが、子供の頃から『仮面ライダークウガ』とか、あと怪獣特撮映画いろいろとか……"東京"を舞台にした、かつ舞台が首都・東京であることに意味があるような作品を観るたびに、どこか悔しさみたいなものを感じてた部分があったんですよね。京都も全然いい街なんですけども。

 

自分にとって東京は、どこかフィクションの都市みたいだった、というか……それこそ最近だと『シン・ゴジラ』とかは「オレたちの街にゴジラが!!」っていう恐怖があればこそ、明確に作品へのノリ方が変わってくると思うんです。ただやっぱり、(『シンゴジ』当時はまだ京都に住んでいたのもあり)「おー またいつもの東京が燃えてんなー 蒲田ってどのへんなんだろ」くらいの捉え方で初見時を迎えてしまった……というのは、まあ後悔までいかなくとも チョットもったいなかったな〜、なんて思っちゃったりして。


で そんなフィクションの都市である東京、の象徴といえばやっぱり渋谷、スクランブル交差点ですよ。『428』でも、物語がこの場所から始まるという最重要地点。

 

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紹介トレーラーより


やっぱり自分の中では、東京にもう何年も住んでても……いまだにTOKYOとかSHIBUYAっていう街への憧れというか、どこか観光客気分で楽しみ続けている部分がずっとあります。渋谷なんてもう全然、駅で何百回降りた?くらいにはなってるんですが、それでもいまだにスクランブル交差点に立つと「すげ〜〜〜 本物の渋谷だ……」ってなりますから。パトカーに"警視庁"って書いてあるとビビりますし。

 

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Steamより


ただ『428』があったから、あのゲームをプレイして、プレイしてる間は渋谷の住人として生きることができたからこそ、渋谷という街への"憧れ"と……街への愛、言うなれば"親近感"かな?この二つが自分の中で接続できた、と思っています。観光客としての「渋谷が好き」と、街の住人としての「渋谷が好き」の両方の感覚を得ることができた、というか。もはや地元愛まで行きます。

 

『428』には5人の主人公が、とは書きましたけど、やっぱりこの作品の主役は渋谷という街そのもの、なんですよね。たとえネットやSNSの爆発的な発達とかもあって"街"っていう単位が薄れてきてる昨今にあっても……様々なバックグラウンドをもつ人々が集まり……とはいえ、みんながみんな知り合うということもなく……それでも、運命の交差点として機能する"街"。

 

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Steamより


さすがに今プレイするとなくなっちゃったりしてる施設も多いんですが、それも含めて克明に記録された、当時の渋谷の街の空気感を感じられるのがまたイイんです。


(ところで、渋谷が東京の象徴である……のはそれはそうとして、なぜか自分がハマるコンテンツに渋谷が絡んでることがやたら多いので 縁があるのかなあ、とか思っています。『すばらしきこのせかい』とか『CHAOS;HEAD』とか『ガンスリンガーストラトス』とか)


……なんかフワッとした話になっちゃったので、もうちょっと具体的にこの作品の魅力を。ゲーム自体の進め方としては、あるキャラクターのストーリーを進行させると選択肢による分岐が出てきて→その選択によって、他のキャラクターのストーリーが思わぬ方向に変化していく……ので、その人がバッドエンドにならないように他のキャラクターの選択でカバーして→また他のキャラクターのストーリーが変化して……の、繰り返し。

 

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Steamより


右に行くか左に行くか、右に行ったら変な男にぶつかったけど気にせず進んだ→

実はその"変な男"は別の主人公で、ぶつかってケガをしたからバッドエンドに→

じゃあ最初のヤツを左に行かせよう→

変な男はぶつからずに済んだからなんとかなったけど、最初のヤツはヤクザにぶつかることになってバッドエンドに→

じゃあそもそもヤクザをその道に向かわせないように、また別の主人公で選択を……

みたいな感じ。謎が謎を呼ぶストーリー本筋はもちろん、このパズルがまた面白いのなんの。

「え!?こことそこが繋がってくんの!?」の連続ですよ。バッドエンドの中にもシリアスなものからギャグ全開のものまで、いろいろあって楽しいし。

 

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Steamより


で まあコレが……パズル的な面白さ、はもちろんありつつ……誰もがみんな自分の物語の主人公であり、また同時に、みんな誰かの物語の登場人物である、っていうテーマに繋がってくるんですよね。

 

街、特に東京なんていう大都会では、人と人との繋がりが希薄である、とかなんとか言われがちで……その他者への無関心さは、もちろん自由・気楽な部分でもあるからこそ、一概に悪とは言えないんだけれど……それでもやっぱり、同じ街を歩くあの人やこの人にも、それぞれの物語があるんだろうな……と想像することで、世界はより良く変わっていけるんじゃあないかな、と思わせてくれる作品、だと思います。


いろいろダーッと書きましたけども。ぶっちゃけこの『428』、ノベルゲームだから具体的なこと書くと全部ネタバレになっちゃうし。あとまあ……結局のところ、人生の一部と言えるゲームについて語ろうとすると、どうしても布教っていう形にはなっちゃいますよね。ガッハッハ。


映画やマンガじゃなくてゲーム、それもストーリー主導のゲーム作品というのは、自分自身の手によるプレイ体験こそが、何よりも雄弁にその魅力を語ってくれる……と 常々思っているので。ぜひプレイしていただきたいところ。

『428』って移植もされまくってて、今だとPlayStation4版とWindows(Steam)版がやりやすいと思います。PS4だと無料体験版も配信されてるので、今すぐライブラリーに追加してください。お願いします。

 

 

これはマジで……たぶんこのアドベントカレンダーにこれから書かれる方々も含めてゲーム布教する人は全員コレ言うと思うんですけど、やったらわかるから。超おもしれ〜から、マジ。

よろしくお願いします。