ゼンタイパワード

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【超雑感】映画『バッドガイズ』

監督:ピエール・ペリフェル

脚本:イータン・コーエン

2022年10月7日公開 100分

2022年10月17日、TOHOシネマズ立川立飛にて鑑賞


※感想後半のネタバレ部分には注釈があります



狼のミスター・ウルフ(サム・ロックウェル)が率いるのは、キラわれ者の動物たち5人による怪盗団・バッドガイズ。ある夜、街の知事であるキツネのダイアン(ザジー・ビーツ)の挑発に乗ってしまったウルフはミスを犯す。逮捕されてしまったバッドガイズは、更生プログラムを逆手に取って無罪放免を勝ち取ろうとするが……

 

最高!完璧!オールタイムベスト入り!!!!


・ありがとうございました!!!!!!

 


・で終わるワケにはいかないので、つらつらと感想を。


・原作はオーストラリアの作家、アーロン・ブレイビーによる子供向けコミック。


・そういえば本屋さんで児童書のコーナーに並んでるのを見かけたことがある。


・数巻ぶん読んだ感じ、原作というか原案というか うまいこと要素を配置しつつ映画用にまとめてるな〜 という感じ。


・同じドリームワークスの『スーパーヒーロー・パンツマン』も児童書原作だった。


・公開前、けっこう長いこと予告が流れてた気がする。

 

 

・『bad guy』ね。もう色んなとこで100億回聴いたかな。動物ものかあ。あんまハズレないよね。日本版バッドガイズ!つってね。おなじみ芸能人吹き替えバーン!みたいなね。うん。わかるわかる。まあ〜観たいのなかったら観ようかな。ドリームワークス好きだし。うん。

 

 

・私を罰してください……

 

 

・ちなみに いわゆる"タレント吹き替え"とか"芸能人吹き替え"に関しては、自分は割と寛容というか穏健派。


・①映画が作品であると同時に商品でもある以上 わかりやすいプロモーションは必要だし、

②そこから新しい才能や魅力が見つかっていくことも多々あるので、一概に全部反対!とまでは思わない。


・ただ"吹き替え"という職人芸を愛好する身としては、専業声優の仕事を奪ってしまっている構図にはNoを唱えるべき、でもあるので……


・……しっかりとしたキャストの選定、徹底的なオーディションやトレーニング、音響監督による的確なディレクション、は行われていてほしい。その上でのタレント吹き替えなら納得できる……というのが 自分の線引き。


・まあ こういうの おのおのがどこに線を引くか、どこまでを許容ラインとするか……によって変わってくるものだとは思う。


・閑話休題。


・まずその吹き替えについて……文句なし!!!!


・全員とっても上手かった。ウルフ役の主演・尾上松也さんは……そもそも"初挑戦"じゃないし。『モアナと伝説の海』に『ゴジラvsコング』、あと『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』とかは中村獅童さんからの縁かな?クールなワルだけどコミカルさも入ってる感じ、ちょっとルパン三世っぽくてよかった。


・あとスゲ〜良かったのはスネーク役の安田顕さん。この人はもう声の演技も全然やってるもんね。最近だと『龍が如く7』とか……『レイトン教授と悪魔の箱』なつかしい。しわがれ声の低音が安定していて大変いい。ハードボイルドな感じの声だけどウルフとの掛け合いも軽快でバディ感がよく出てた。


・ていうか シャーク役の長田庄平さんは『トイ・ストーリー4』のバニーとか、タランチュラ役のファーストサマーウイカさんは『ジュマンジ/ネクスト・レベル』とか『ザ・スーサイド・スクワッド』とか出てるし、経験者ばっかりじゃねーか!!!!


・ピラニア役の河合郁人さん(A.B.C-Z)は吹替初挑戦!だったみたいだけど全然全然。ちょっとあどけなさの残る感じのキャラクターを好演されてました。劇中で歌うシーンもしっかり吹き替え(訳詞もバッチリ!)られてて好印象。そこだけ英語に戻ったりすると若干……若干ね。スッてなっちゃうことあるから。


・100分間ノンストップ、ストーリーも会話もメチャメチャテンポよく進む映画なんだけど、それに伴ってキャラクターたちもかなり早口か、合間にボソッとギャグを差し込むか、というセリフが多かった……ところを、皆さん見事に演じ切っていた。驚嘆の域。


・脇を固める声優陣の演技も素晴らしかったけど、ネタバレを含むため後述!


・言うまでもなくアニメーションは超ド級。2D表現をふんだんに取り入れたダイナミックな3Dアニメーション、というと近年ではやっぱり『スパイダーマン:スパイダーバース』が代表的だけど、デジタルっぽいエフェクト盛り盛りのビビッドな感じだったアレとはまた全然違って……あえて近いのを挙げるならNetflix『ミッチェル家とマシンの反乱』とか。


・往年のカートゥーン的なギャグ・誇張表現がビャンビャン飛び交って(なんか画面の端で面白い動きしてるやつが0.5秒くらい映ったりするけど特にツッコミなく進む、とか)コメディの洪水を浴びるような感覚。


・いわゆるケイパーものというか、『オーシャンズ11』みたいなスタイリッシュ犯罪映画の流れを完全に踏襲しつつ、クエンティン・タランティーノの『レザボア・ドッグス』みたいなクールさも風味として随所に差し込みつつ。


・「作戦の流れはこうだ!」ってセリフから、説明をバックにチームそれぞれが流れるような動きでミッションをこなしていくやつ……みんな好きでしょ!?


・こういう作品が好きな人はこれも好きでしょ、って安易に言うとね。なんかこう……いやそれは違うけど!?みたいな。あるけども。あるけど……『ルパン三世』とか『かいけつゾロリ』とか……『ズートピア』とか。どれにも通底する普遍的な魅力があると思うんで。こういうの好きな人に……オススメです!


・ド派手なアクションギャグとポジティブなメッセージがしっかり込められた、子供から大人まで楽しめる超リッチなアニメーション作品でした。

 

 

 

 

 

 

 


〜以下、ネタバレがあります〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・いや〜〜〜〜それにしても良かった。


・かいけつゾロリみたいだな〜と思ってたら、"隕石"と"おなら"が出てきたので本当にゾロリだった。


・吹き替えで言うと、まずマーマレード教授役の山口勝平さん……もしかして怪盗キッド繋がり?……いや〜正直マジで なんか自己顕示欲の強い感じのキャラだから、まあ根っからの善人ってワケじゃないんだろうな〜くらいに思ってたら く く く 黒幕かよ!?!?!?って。


・ミスティー署長は斉藤貴美子さん。良すぎ!!!こういうセリフの全部の音に濁点がついてるような女性キャラクターを演じさせたら天下一品ですね。叫び声に安定感があるからリアクションも笑える。


・キツネのダイアン知事役は甲斐田裕子さん。

 

 

う 疼くぜ……ケモナーの血が……!

 

 

・アレはもう仕方ない。


・知事としてバリバリ活躍してる姿からの『パルプ・フィクション』を思わせる熱烈なダンスシーンも最高。


・で クリムゾン・パウですよね。伝説の怪盗。ハイ最高。他の伝説たちに紛れ込ませることで「まあこの世界にも色々いたんだろうなあ」くらいに思わせるのも上手い。全然わかんなかった。


・"いいこと"に目覚めた先輩としてウルフを導くメンター的な役割も果たしつつ、子供のようにガジェットやカーチェイスにはしゃぐのもカワイイ。


・アタッシュケースからバイクに変形して……またアタッシュケースに戻しながらサラッと仕事復帰!!ここカッコ良すぎ。優勝です。おめでとうございます。


・ところで私の"獣の刻印"の目覚めは『トレジャー・プラネット』のアメリア船長でした。

 

 

・私を罰してください……

 

 

・あと 手のひら回転しまくりレポーター役の高橋真麻さんもよかった。「やっぱり見た目通りですね!固定観念サイコー!」みたいなセリフがヤバすぎて最高。


・映画全部よかったから特に言うことないんだけど、テーマの話をしておくと……ド直球に"偏見"の話ですよね。


・バッドガイズたち、偏見に晒される側はいわゆる"怖い動物"の見た目を与えられていて、これは外見、人種、あるいは犯罪歴……のメタファーとして取れる。


・逆に、傍観者としての市民たち……すなわち偏見に晒す側(ちょっとヘンな日本語だけど)は、無個性な人間の見た目。これはいわゆる"多数派"や"社会"でしょう。


・本作は 単に少数派の属性を持っている、というだけで恐れたり嫌ったりする"晒す側"、その恐怖や嫌悪を受けながら生きてきたがゆえに"ワル"であり続けようとしてしまう"晒される側"……


・……だけでなく、"晒す側"は少数派が"ワル"であってほしいと願ってしまう、という 社会の歪んだ有り様を描いているのではないか。


・授賞式で観客たちが一斉に手のひらを返す場面、スゲ〜〜〜〜怖かった


・ちょっと欲を言えば、そういった多数派や社会をたしなめるような描写がもう少し欲しかった気もする。この映画自体がそうだと言えばそうなんだけど。


ワルぶるより一歩踏み出してみよう、そして誰の心にもある善を信じよう……という力強いメッセージが込められた作品だったと思います。

 

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