ゼンタイパワード

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【超雑感】映画『MEN 同じ顔の男たち』

監督・脚本:アレックス・ガーランド

2022年12月9日公開 100分

2022年11月19日、試写にて鑑賞

 

※感想後半のネタバレ部分には注釈があります

 

 

夫の死を目撃してしまった女性・ハーパー(ジェシー・バックリー)は、心の傷を癒すため田舎町の貸屋敷に滞在することに。親切ながらどこか不気味な管理人(ロリー・キニア)の勧めで周囲の森を散歩するハーパーだったが、徐々に不穏な影が忍び寄り……


・ザ・不穏!!!


・タイトルとポスターの感じからわかる通り、男性性を恐怖の対象として描いたホラーサスペンス。


・製作はおなじみA24。ここはロゴがもう怖い。


・具体的なモンスターとか現象とかが襲ってくる……というより、周囲でだんだん怪現象……まあ説明はつくけど……?くらいのが起こり始め、だんだん頻度と程度が増し、ついには……という系統のホラー。コレってなんかジャンル名とかあるのかな?


・"不穏さ"でじんわりじっくり追い詰めて怖くなっていく、というか。


・全編に渡って男性性のキモさがクローズアップされるんだけど「ウオオ〜〜 こういうキモさ……わかる!!!」ってなりまくる。


・このへんはアレックス・ガーランド監督の手腕というか、男性だからこそ見える男性のキモさ、みたいなのも大いにあるんじゃあないかな?と思います。同族嫌悪というか。


・これ、あんま言うと「女性ならではの視点」みたいでキモいんだけど……今回は男性性をメインテーマとして描く上で、という話なので。


・毒々しいまでに鮮やかな緑の森、そこに建つ暗赤色の屋敷、R15の限界ギリ超えてんじゃねーかってビジュアル等々、衝撃的な気持ち悪さがずっと続く地獄のような作品(褒めてます)でした。


・あと、試写会のおみやげでいただいたリンゴ飴がマジのマジで美味しかったです。日本初のリンゴ飴専門店・ポムダムールトーキョーさんのもの。

 

 

・正式にタイアップ商品として限定販売されてるようなので、皆さんも買ってください。生まれて初めてこんなウマいリンゴ飴食ったわ マジで。

 

 

 

 

 

 

 

 

〜以下、ネタバレがあります〜

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや〜〜リンゴ飴、ウマかった……(まだ言ってる)


・本作、とにかく不穏なことが起こり続ける……ということもあり、メタファーが多用されまくる。


・そこまで来るとなんでもアリじゃね!?と思わなくもない部分もあるんだけど、メタファーの差し込み方が巧みだから「まあ……なんかの……アレなんだろうな!」と納得しながら恐怖を楽しめました。


リンゴは何だろうなー。ド直球だと"知恵の実"だけど……万有引力のリンゴの木、と捉えると(劇中でもドワーッと落ちてたし)同監督の『アナイアレイション -全滅領域-』とかも連想するなあ。あの屋敷が何らかの不思議なパワーに巻き込まれてたとか。


・ていうか貸家だからって勝手に食べちゃダメだよ!!!


・あと、本作の海外版ポスターはトンネルに入るシーンを元にドクロに見えるようにデザインされてたりとか。


・まさか『犬鳴村』とカブるとは……

 

・トンネルが怖いのは世界共通ですね。『千と千尋の神隠し』じゃないけど、異世界に繋がっちゃいそうな感じ。


・教会のシーンでクローズアップされてた、女性器を丸出しにした石像は"シーラ・ナ・ギグ"。なんか昔 デザインいろいろ調べてた時に見た覚えがあるような。


・生殖器、特に女性器が魔除けとかのシンボルにされるのはいろんな文明で見られると思うけど……どうなんだろう 今回は「……やっぱそれってキモくない!?」って話なのかな。


・宗教における男性の優位性もまた……だいたい世界共通じゃないですか。女性は不浄!とか言われたり。本作で登場したキモ司祭も男性だったし、なんかこう……そういうヤツらに勝手に魔除けとかにされるのスゲ〜キモいぜ!って話なんじゃあないか。


・あの司祭もヤバかったよね〜〜。立ち上がった後のベンチの体温を感じ取ろうとするトコとか もうオエ〜だぜ。


・ところで本作、男性の構造的加害者としてのキモさから……生得的なキモさまで踏み込んでいたような印象で、ここに関しては正直批判もあると思う。


・男であるだけでキモいって、それはまあ……そう……なんだけど、そんなこと言っちゃダメだし。


・まあ でもなあ〜〜。ホラー映画として何かをクローズアップする時って 要はそれを誇張して描くワケで……で今回 男性性を恐怖の対象として描くってなると……キモ!って見せ方にはなっちゃうよなあ。


・男性への嫌悪(ミサンドリー)を煽ってる、とも取れちゃうし。ただまあ……「こーいうトコがキモいんだから気をつけろよな!」くらいに捉えるのが ちょうどいい落とし所なのかなと思います。


・たまに洋画観ててビックリする時あるんですけど、本作の冒頭で歯磨きするシーン、磨いてペッして終わり!?ってなりました。


・水でグチュグチュペッてしないの!?そういうタイプの……歯磨き粉?


・ゲームだけど『HEAVY RAIN 心の軋むとき』では主人公(一家の父親)が冷蔵庫から出したオレンジジュースの紙パックを直飲みしてそのまま戻しててビビったことがあります。


・アレはたぶん、普通に世界どこでもダメだと思う。


・あと浴室!お風呂大好きな身としては、ああいうオシャレにタオルとか置いてあるバスルームがちょっとうらやましい。乾燥気候だからできるのかなー。


・男性性、特に有害な男性性(トキシック・マスキュリニティ)のイヤさが最もわかりやすく描かれてたのは、パブのシーンかな。


・「いい飲み屋だヨォ〜」みたいに言われてたけど、実際行ってみたら……"ヨソものの女"が来たと見るやジロジロ睨んでくるわ、警官はトラウマもんの事件を酒の肴にするわ、居心地いいのは酔っ払ったクソ野郎だけやないかい!っていう。


・窓から飛び込んできたカラスの首を折るシーンとかもさあ〜。パッと見た感じ「もう飛べないから楽にしてやろう」または「こんなに優しくてたくましいボクちゃんを見て」なんだけど。


外でやれや外で!!!!


・管理人に関しては、"厳格な"父親からの抑圧があったっぽいことが示唆されてて……そういう連鎖も悪いんですよ、っていうのも ちょっとは読み取れるようになっていたと思うけど。


タンポポは何だろう。綿毛をフワーッてやられるシーンは、直球だと精子っぽかったけど。


・終盤に出てきた、男が男を産んでまた男を産んで……なモンスターの存在を鑑みるに、単為生殖するタンポポを有害な男らしさの連鎖・再生産にもなぞらえてたのかな〜。


・セイヨウタンポポ、絶対許さねえ……!(仮面ライダー鎧武)


・ところで、外来種のセイヨウタンポポが在来種を駆逐した……って話はデマだそうですね


・せっかく斧が登場したんだから、最後はモンスターにザックゥーいってブッシャーいってDVクソ旦那の首もゴッロォーいってもうたらよかったのに。まあ……カタルシス!!!って感じの映画じゃないか。

 

 


リンゴ飴は持って帰って冷蔵庫で冷やしてから包丁でカットして食うと(同封のチラシに書いてあった)メチャうまだったのでオススメです。


・あとポムダムールトーキョーさんのお店だと カットしてくれてイートインもできるみたいなのでゼヒ。