監督:山口龍大朗 脚本:敦賀零
2022年8月26日公開 39分
2022年10月7日、下北沢トリウッドにて鑑賞
※感想後半のネタバレ部分には注釈があります
実家のサーフショップで働く健一(吉村界人)は不慮の事故で死んでしまう。幽霊になった健一が帰宅すると、数年前に死んだ父(津田寛治)の幽霊が現れる。その時、店番をしていた母(田中美里)に見咎められ……
・監督の山口さんと、本作に出演している俳優・木ノ本嶺浩さんが登壇する舞台挨拶つきの回を鑑賞。
・映画の公式アカウントにTwitterでフォローをいただいたので それを機に。
・おれは"義"を忘れぬ男……(チョロすぎ)
・でも実際うれしいよね!?作家さんとかフォローされたらすぐ本買っちゃうよ!!デヘヘ……それはそれとして 映画自体もかなり気に入りました。
・つまんなかったらつまんないって言うからな!!
・いや……その場合は……言わんかもな……何も…………
・は置いといて。
・インディーズ というか大手配給じゃない映画って……役者の演技とか監督の撮影技法とかに より注目しちゃう気がする。まあ単純に関わってる人数が少ないからかな?
・で 本作『人』。検索しにくそうなタイトルだな〜と思ってたら舞台挨拶でも監督がそう言ってました。タイトルって難しいよね。
・ハッシュタグ # HITO で検索してください!とのこと。なるほどコレはちょっと上手い。
・山口龍大朗監督は本作が商業初監督作で、ご自身の友人を亡くされた経験から本作を撮ったとのこと。
・自分も親しかった友人を思い出したりしてホロリ。"死"と向き合うのに物語の力を借りるってイイよね。
・本作でなにより評価したいのは……節約術!!!
・というか、インディーズならではの撮り方や脚本上の工夫の巧みさ。
・39分という短編の尺で"死"、すなわち逆説的にそれまでの"生"を描く、を成立させる技巧の数々に唸らされました。これから商業作品でバンバン活躍していく上で活かしてほしい才能。
・死は突然訪れるけど、それを受け入れてしっかり別れを果たすには時間がかかる……"幽霊"というフィクションによってそういった心に寄り添うような一本でした。
映画『人』みた 幽霊が見える母と突然死んでしまった息子との最後の会話を描いた短編 主演の吉村界人くんのぶっきらぼうな魅力が存分に引き出されててよかったなー 近しい人との別れと そこにちゃんと気持ちのケリをつけることの意味を考えさせられる良い作品でした #HITO pic.twitter.com/G5kQXHyy7s
— 始条 明 (@AkiraShijo) 2022年10月7日
〜以下、ネタバレがあります〜
・津田寛治が一瞬しか出てこねえ!!!!
・……んだけど!!それがイイ それこそがイイ
・まあスケジュールとか色々都合があったのか?わかんないけど 一瞬しか出さないことで逆に……最も効果的かつ贅沢な津田寛治の使い方に見えてくる。
・"家族3人"と銘打たれているから てっきり3人のドラマが描かれるのかと思いきや、いきなり津田寛治が成仏するので観客はまず戸惑う。
・戸惑いつつ観進めていくと、どうやらあの頭ワシャワシャが……彼が現世で最後にやりたかったこと、であると気付く。ここでまず泣ける。
・さらに観進めると……お母さんにはずっとお父さんの幽霊が見えていて、ずっと暮らしていたことがわかる。彼女には彼女の物語があって、観客には見えないけれど色々なドラマがあったのだろう。ここでまた泣ける。
・4回泣けます──
・「力を入れると足が現れる」っていうコミカルな描写を入れることで(映像的に)足を消し続けるコストを削減してるのもイイ。こういうのも制作上の都合を脚本に昇華させてる好例。
・主演の吉村界人さん、イイですね。ちょっと桐谷健太さんに似てる感じ……と思ったら過去に共演されてた。ぶっきらぼうな少年っぽい魅力。
・お母さん役の田中美里さん、これはもう実質主役というか 残される側の人なので。これまでもいろんなことがあったんだろうなあ、これから先はどう生きていくんだろうなあ、と想像できるような 濃いキャラクターと人間味のある演技がスバらしかった。
・声優もやってる人は濃いキャラが似合う〜 声の演技が安定してるからかな?
・挨拶に登壇された木ノ本嶺浩さんはサーフショップの常連で……なんかちょっと健一母に思いを寄せてる?役。そこをもっと濃く演出しても良かったけど別のドラマが生まれちゃうから(カットした)、とは舞台挨拶での談。確かに。
・でもなんか……「あ 絶対好きだな!?」ってわかる感じがビンビン出ててよかった。ここは役者として信頼してるからこそのカットでしょう。
・次回作にも期待してます。