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【レポート】第一回『デトロイト ビカムヒューマン』オフ会

本記事は、イベント本体の書き起こし・レポートになります。開催に至るまでの経緯などはこちら→

『デトロイト ビカムヒューマン』オフ会を開催しました


第二回オフ会のレポートはこちら→

第二回・前編(ゲスト:カーラ役 佐古真弓さん)

第二回・後編(ゲスト:監督/脚本 デヴィッド・ケイジさん)

 

 

イベント概要

開催日:2018年8月3日 17:30〜

会場:SF作品やアメコミ映画をコンセプトにしたダイニングバー"新宿FLUX"

主催:洋画オタクの私、始条明@AkiraShijo)と、洋ゲーオタクのayaka@citacitayaka)さん

ゲスト:『デトロイト ビカムヒューマン』コナー役・花輪英司さん

 

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〜以下、『デトロイト ビカムヒューマン』のネタバレを含みます〜


〜まず主催から自己紹介、会場案内、ドリンクの注文方法、禁止事項などの説明〜


――それでは、さっそく本日のゲストの方をお呼びしたいと思うのですが……

すみませーん!

――ヤバい!警察だ!皆さん声を抑えて!

「開けろ!デトロイト市警だ!!」



〜花輪さん、控え室から登場。黒の上下に、LED・胸章・腕章の3点セットをシールで再現〜



――改めまして、本日のゲストである『デトロイト ビカムヒューマン』主人公のひとりコナー役を演じられました、花輪英司さんです!

どうも皆さんはじめまして、コナー役の花輪英司です。なんかスゴい倍率だったっていうのを先日聞きまして、ビックリしてます。
(ゲストを発表せず先着30名、発表後に抽選15名の募集。30名は5時間で埋まり、抽選応募は153件でした)
海外のゲーム作品、いわゆる"洋ゲー"でここまでの反響があるんだなと驚いています。今日はよろしくお願いします!楽しんでいってください。

――花輪さんはフィギュアを買われたりゲームを遊ばれたりもされる方で、『デトロイト』もご自身でプレイされたとのことです。ので、今日は楽しいお話が聞けると思います。よろしくお願いします!

 

 

トークコーナー

 

――ご自身でも『デトロイト』をクリアされたとのことで。

先日クリアしました!今は二周目をプレイしてます。

――一周目のクリアでは、どんなルートをプレイしてどんなエンディングに辿り着きましたか?

とりあえず、三人それぞれの仲間たち含め全員が生き残るルートを目指したんですけど……ハンクだけ死にました!自殺しました(笑)

――エーッ!!

なんか、優しく優しく接してるハズだったんですけど……裏目に出るといいますか、話しかけるたびにハンクがカチンと来ちゃって……不思議な話になってしまいました。

――プレイしていく中で、印象に残ったシーンはありますか?

マーカスのストーリーが結構好きでしたね。彼の存在というか、私の辿ったルートでの方向性が結構好きで。マーカスのエピソードはどれも好きですけど、導入の部分(廃棄場のシーン)が一番好きです。革命家誕生!という感じで。

――ちなみに、マーカスは平和的に対話するルートに行きましたか?それとも「戦えー!」みたいな感じで……?

平和的に!なるべく穏便に穏便に進めていきました。で、最終的には「一時的に自由を手に入れた」っていう。

(会場内、ああ〜〜……という声)

……さすが皆さん、わかるんですね(笑)

――次の質問です。『デトロイト』の中で、このキャラクターとなら仲良くなれそう!友達になりたい!というキャラはいましたか?

仲良くなれそう……なんか気になるのは、ギャビンですかね。でも私自身、プレイしたルートでギャビンにほとんど会えてないんですけど……唯一印象に残ってるのが、終盤で証拠保管庫に行く時にすん〜〜ごい久しぶりに会ったギャビンに絡まれて、ああ……は、はい……って感じのリアクションになったことですね(笑)

(会場、笑い)


――今回、『デトロイト』の収録はどんな感じで行われたんでしょうか?

ウチのチーム(花輪さんと、ハンク役の岩崎ひろしさん)以外もそうなんですが、基本的に主人公の三人はそれぞれバディ(相棒、アリスやノース)と一緒に、二人ずつ収録していました。テストは岩崎さんと同時に流れでやっていましたが、本番の収録では交代しながらというか、全部コナーの声を録ったあとにハンクの声を収録、みたいな感じでした。

――では、コナーが別のキャラクターと話しているシーンなどでも別録りで?

別ですね。

――声を収録される時、ゲーム本編のグラフィックや映像はどこまで完成した状態だったんですか?

顔に点々をつけたモジモジくん……パフォーマンスキャプチャーをされている映像をもらって、それを見ながら録っていました。オープニングの部分(ダニエルが人質を取るチャプター)だけはゲームの映像が出来ていましたが、最終的なゲーム本編を見てみると、自分が出ていたものよりもかなりクオリティが高くなっていてビックリしました。

――背景やシチュエーションがわからないことで、収録が難しかった部分もありましたか?

基本的に、体育倉庫みたいな場所で撮られていたので……屋外なのか屋内なのか、わからない部分もありましたね。台本の指示に従ったり、映像から想像したりしていました。車に乗っているシーンとかでも、ダンボールと木で組まれた車に乗ってるんですよ。ただ、映像があった分、演じやすかったというのはありますね。

――今回、ゲームのローカライズには珍しく"台本"が作られていたとのことですが。

そうですね。他の作品だと、製本されていない紙で渡されることがほとんどです。自分のセリフだけ書いてあって、どんな状況で、相手のどんなセリフを受けて話しているかわからないので、原語版のテンションに合わせて演じていることも多いですね。出来上がったシーンを見て初めて、ああこういう場面だったんだ……となることも、いまだにあります。すんげー近くにいる人と話してると思ったら、遠くにいる人と話していたり。

――「開けろ、デトロイト市警だ」も?

アレは完全に屋外だと思って録ってましたね(笑)でもあそこの場面は、普段の吹き替え以上にわざと「すみません」と「開けろ!」のテンションにギャップをつけて演じた部分はあります。その方がゲームっぽいしアンドロイドっぽいし、いいかなと思って。

――今回、この後やっていただく名ゼリフ再現コーナーのために取っておいたアンケートでもダントツ一番人気のセリフでした。

その意味がよくわかんないんですよね(笑)そうなんだ……。

――英語版でもプレイされている方、本日ご来場の方々にも多いと思うんですが……日本語吹き替えのテイストって、原語版でコナーを演じているブライアン(・デッカート)さんとの違いはありますよね。

ローカライズされた台本部分と、我々……僕が考える演技の部分って、やっぱりどうしてもズレがあって。それをうまくすり合わせつつ、お互いのいい部分を出し合って……という。映画の吹き替えも同じなんですけど、そういう点では、一本のソフトに原語版と吹き替え版の二種類の『デトロイト』が入っていると思っていて、別物ではないけど"違う部分がある"ことも楽しんでもらえたらな、と思いながら収録に臨んでいました。

――プレイヤーごとのプレイスタイルや選択肢によって違いもあると思うんですが、コナーは結構、つかみ所のないような印象を受けます。劇中でもキャラクターが変化していきますし……花輪さんとしては、どういうイメージで演じておられましたか?

最初に彼を知ったのが、トレーラーで使われていた映像で……アレの収録が、そのままホントにオーディションだったんですよ!珍しいパターンだったので、ビックリしました。

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その時に感じた印象をそのまま本編に持っていきつつ、台本を受け取ってから、ストーリーの流れに沿って変化する部分、しない部分のバランスを自分でも演じながら……客観的にも見てもらいながら、肉付けをしていきました。シリーズものの吹き替えをする時などもそうなんですが、あまり自分だけで(イメージを)固めていかないようにしています。

――シリーズもの、結構キャラクター変わっていくことありますもんね。ドラマとか。

やっぱり、視聴者の方々をダマさなきゃいけないじゃないですか。我々が先の展開を知りすぎちゃうと、そっちに引っ張られて演じてしまうかもしれない。そういうのが好みではないのでそれを避けつつ……このゲームでも、普段のスタイルで演じられたかなと思います。

――コナーのセリフの中で、このシーンやこのセリフが気に入ってる!というものがあれば。

自分のですか?恥ずかしいな(笑)

――あるいは、収録する時に苦労したセリフなどでも。

苦労したセリフは、実は……ないですね。今回は日本語版の台本を完璧に作っていただけてたので。
台本ってすごく大事で、キャラクターを創るための最高の道具なんですよ。映像だけではなく、セリフ回しなどからキャラクターが出てくるので。
全体的に翻訳が固めの台本とかもあるんですが、そういう場合はキャラクターが掴みづらいこともあります。しかも今回はハンクと一緒だったということもあって、あっちがやさぐれたおじさんだったので、彼とのギャップをつけることで、コナーというキャラクターをより理解しやすくなった面もありますね。

好きなセリフは、オーディションでも演じたし、トレーラーでも見たし……次のコーナーにも入ってますけど(笑)

(会場内、ああ〜〜……という声)

演じながらも、カッコいいなあと。こんなセリフ考えられるんだーって思いました。

――ありがとうございました。ではここからはお待ちかね、花輪さんによる名ゼリフ再現コーナーになります!よろしくお願いします。

名ゼリフなのか!?って思ってます(笑)頑張ろうじゃないですか!

 

 

名ゼリフ再現コーナー

 

人質を取ったダニエルに対し、流血する警官を救おうとする場面より
「僕は生き物じゃない、殺せないぞ!」
(先述の通り、花輪さんの一番のお気に入りとのこと)

バーに入り、ハンクに声をかける場面より
「アンダーソン警部補、私はコナー。サイバーライフから派遣されました」
(ハンクと最初に交わす言葉)

雪の降る川沿いにて、変異体について考えるハンクと会話する場面より
「あなたが望むものになりますよ。パートナーでも、飲み仲間でも、ただ任務を遂行するだけの……機械でも」
(かなり票を獲得したセリフでした)

ストラトフォードタワーの放送局・キッチンにて、マーカスに協力していただんご三兄弟を尋問する場面より
「いいか、君は機能を停止されるんだぞ!そしてメモリーをサーチされ、すべての部品をバラバラに解体され、分析されるんだ。
……君は破壊されるんだよ、わかるか?破壊されるんだ!」
(会場内の歓声が一番大きかったセリフ!)

カムスキー邸にて、クロエを撃てなかった場面より
「彼女の目を見たら、撃てなくなった!それだけです。どうすべきかはわかっていましたが、撃てなかったんです!……ご希望に添えず!すみません!」
(花輪さんも撃たないルートを通ったそう)

マーカスがいない(ノースがリーダーとなった)場合、ジェリコを爆破しに行く場面より
「僕が行く、君はみんなを逃がして。起爆装置を探してみる……平気だよ、任務の遂行は得意なんだ」
(割とレアなハズが、得票数が多かったもの)

ジェリコ爆破時、突入してきた隊員をごまかす場面より
「来るって知ってればドーナツ差し入れましたよ」
(デトロイト市警だ!に続く2位の得票数。半笑いなのがまた良い)

――ありがとうございました!ではここからは、ご来場いただいた皆さんからご自由に質問していただけるコーナーとなります。ガンガン質問しちゃってください。

 

 

生質問コーナー

 

来場者:コナーってやられるシーンがたくさんあると思うんですが、特に尋問のシーンでコナーが刺された時の声が……大好きです!痛い時の声を出す時のポイントとかってありますか?

ありがとうございます(笑)あの場面は、"痛み"とか"ジャンプ"とかを何パターンか先に録っておいて、それを組み合わせて作られているシーンなんです。ウッ!とか、ハッ!とか。
ただ、そういった声を録る時にもいろいろ指示があったりとか、自分の中で想像したりすることはあります。刺される時や撃たれる時の声でも、胴体なのか手なのか足なのか、正面からなのか背中からなのか……というバリエーションをつけて録ることもあるので、その中でハマるものがあったんだと思います。

――「今日はジャンプばっか録ります!」みたいな日があったりするんですか!?

そんな日はないです!ヤになりますよ(笑)

来場者:RK900ってご存知でしょうか。

実は……知らないんです(笑)

来場者:すみません、じゃあ別の質問を。変異体になったコナーと機械のコナーで、演じ分けを意識されていましたか?

もちろん!台本にも"変異体"とか書いてくださっていたので、演技を使い分けていましたし……変異体の時は、若干息遣いを多めにしていましたね。洋画を吹き替える時のようなナチュラルに近い演技でやっていました。機械のコナーの時は、声を出す仕組みで息はするけれど……というくらいに留めていました。

――アンドロイドって、たぶん息ほとんどしない?んですよね。

息をしているように"見せかける"ためにやっている部分もあったのかなと思います。英語音声の波形を見ても、変異体でないアンドロイドたちの声では意図的に呼吸の部分が切られている、とのことでした。

来場者:コナーって、何歳くらいのイメージで演じておられましたか?

そうですね、年齢のイメージで演じ分けるというのはあまりなくて、演じる時にはキャラクター自体のイメージで考えることが多いんですが……コナーは30前後くらい、どちらかというと30オーバーの31、2歳というイメージでした。

原語だと、私より少し高めの声じゃないですか。そこに合わせて演じると、若干幼く聞こえてしまうような懸念もあって。普段の自分のスタイルに近いアプローチで、自然に聞こえるように演じるとああいう感じになりました。

来場者:ハンクが自殺してしまうルートを演じるにあたって、コナーはどう感じていたと思いますか?

コナーというキャラクター自体、あまり感情を露骨に出さないようにしていました。機械の時のコナー自身は、彼なりに誠実にやっているけれど、彼の選択、あるいは私の演じ分け、によってルートが分岐する……と言うよりは、ハンクの受け取り方によってルートが変わる、という解釈の方があのゲームは面白いんじゃないかな、と録りながら思ってましたし、台本もそうなってましたし(笑)そういう……何と言っていいのかわからないんですが、これといって演じ分けはしていませんでした。

来場者:『デトロイト』はルート分岐の多いゲームですが、台本上の繋がりはわかるようになっていたんですか?

わかりやすい台本を作ってくださっていたので、我々が演じた範囲で言うと、ココの延長線上にこのシーンがあるんだな……というのは大体わかるようになっていたんですが、たまに……よくわからないシーンも、ありました!ただその場合も、ローカライズ担当の方にご説明をいただいたりしてから演じています。

――『デトロイト』をプレイする中で、この選択辛かった〜!とか メチャ迷った!とかの場面はありましたか?

どこだったかなあ〜、そんなのばっかりだったからなあ(笑)
カーラが逃げるのか、死んだフリをするのか、とか。それがあったおかげで、ボートで逃げる時にもすぐに ヨシ!水の中入ろ!って思えましたね。

――あ、じゃあ花輪さんのカーラはボートで川を越えるルートに進んだんですね。カーラとアリスと……?

カーラとアリスは生きていて、ルーサーは……なんか、途中で死んじゃいましたね……

――ジェリコに置いてきちゃいました?

いえ、(ローズの)家で死んでましたね。直前にちゃんと調べ損ねて、どんどん警官のおじさんが疑惑の目をこっちに向けて……おじさん、あんなに調べなくても……あと物音立てすぎだよ君たち!いま人が来てるって言ってるだろ!っていう(笑)

――(笑)ついでに伺いたいんですが、マーカスのルートって仲間たち……ノースとサイモンとジョッシュ、みんな生き残りました?

たぶんサイモンが死んでます。

――サイモンは、自分で撃ちました?ビルの屋上のシーンで……

うーん……いま二周目やってるのでこんがらがっちゃって……覚えてないですね、すみません。あれ?サイモン生きてたのかな?(笑)あの人たち、結構生きてたんですよね。

来場者:『デトロイト』には……この会場にも女性ファンが多いですが、この比率は予想されていましたか?
(今回、参加者の9割以上が女性でした)

私は全く予想してませんでした!普段からよく洋ゲーもプレイするんですが、かなり異例だと思います。ので、驚いています。

――じゃあ次のご質問を……

はいっ。

――ウオッ!?じ じゃあ花輪さん、どうぞ!

カーラのストーリーで出てくるトッド……彼はアレですよね、殺さないで済むルートがあるんですよね?初見で殺さなかった人って、どのくらいいるんですか?

(会場内、ほとんどが手を挙げる)

エーッ!みんなスゲーいい人!?
……だって最初、「ビール持ってこい!」って言われたら、お前の後頭部にぶつけてやろうかって思いませんでした?銃を見つけた時も「よし!コレでブッ◯してやる!!」って……(笑)

――(笑)じゃあついでに、カーラのルートで最初どこに泊まったかも聞いてみましょうか。

(会場内、挙手にてアンケート。ほとんどが廃屋でした)

――花輪さんはどこに?

オレ、モーテル!


――廃屋のラルフには、会ってからモーテルに?

会いました。あの人……ダメでしょ(笑)

(会場、笑い)

あの人と一緒に、ひとつ屋根の下は……一番ヤバいやつだと思いましたもん。

――一人称"ラルフ"ですもんね。でも結構人気あるんですよ、彼。

来場者:以前、インタビューでネタバレ防止のために濁されていた"演じていて楽しかったシーン"って、どこだったんですか?

そんなこと言いましたっけ……ああ!思い出しました。ハンクの家で、スモウに驚くシーンです。あそこが唯一、コナーが計算で動いていない場面だったので。楽しく演じられました。

来場者:ちなみに、花輪さんご自身の初プレイ時、コナーはスモウの名前を知っていたんですか?

知ってました!……あれ?知ってたっけな!?収録したから、オレが一方的に知ってただけかもしれない(笑)

(会場、爆笑)

――ありがとうございました!!

 

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〜この後、来場者どうしの交流タイムと同時進行にて、来場者一人一人へのサイン会。また花輪さんのご好意にて、関係者にのみ配られた『デトロイト ビカムヒューマン』仕様の名刺を全員に1枚ずつプレゼント。和気あいあいとした雰囲気のまま閉会しました〜

(写真2枚目に写っているもの)

 

 

第二回オフ会のレポートはこちら→

第二回・前編(ゲスト:カーラ役 佐古真弓さん)

第二回・後編(ゲスト:ディレクター デヴィッド・ケイジさん)